ピロリ菌と胃がん
[2025.04.03]
胃がんの予防対策の一環としてピロリ菌の除菌が始まって随分経過しています。ピロリ菌の除菌のレジメもある程度確立し、きちんとやれば8~9割の除菌成功率が得られます。ピロリ菌は年齢分布が中高年以上に陽性率が高かったこともあり、おもな除菌ターゲットは同世代が中心となりました。結果として胃がんの死亡率は横ばいですが発症率はむしろ漸増しているという予想外の結果となっています。それどころか従来早期胃がん診断における内視鏡検査ではこれまでの疑わしい所見が減り、非常に見つけにくい所見が増えたという皮肉な結果になっています。この胃がんの増加に関しては明らかにピロリ菌以外の要素があるのでしょうが、まだはっきりとしてはおりません。もうすでに除菌を終了したという方も、こと胃がんに関しては継続的観察の手を緩めることはできないと考えております。