帯状疱疹ワクチン(続)
[2025.03.24]
帯状疱疹の患者さんは年代別にみれば若年者よりも壮年・高齢者の方が多い傾向があります。となれば壮年・高齢者は水痘に罹患している場合がほとんどですから既に抗体を保有している方が大多数という訳です。なのに神経に潜んでいるウイルスが再活性化されるというのはなにか違和感があります。では自然に感染して獲得した抗体が加齢とともに低下して、ある一定以上に低下した場合に発症するのでしょうか?ならば旧生ワクチンで対応可能という訳です(麻疹・風疹と同じ理屈)。しかしながらビッグデータとして加齢とともに水痘抗体がどう変化するかのデータを見たことがなく、低力価の方からの発症と高力価の方からの発症率の差などもあるのやらないのやらです。もし抗体価と関係ないとすれば別の機構でウイルスを制御する細胞性免疫の問題という事になります。新型のワクチンではどちらかといえばこちらに焦点を当てて、ウイルス特有の細胞性免疫を誘導しようとしている訳で、そのためにウイルス遺伝子の一部と免疫を刺激するアジュバントという化学物質を同時に注射するという形をとります。副作用の原因として問題になるのがこのアジュバントであり、発熱や疼痛を高率に発生させます。データとしては旧生ワクチンを上回るといわれていますが、副作用も遥かに高率であり、死亡例もでてはいるものの、いつもの如く因果関係については結論はでていません。高齢者や持病のある方には慎重にというスタンスになるわけですが、公費負担が開始されるのは高齢者(すなわち持病持ちの頻度が高い)という事になります。アジュバントが問題になっているのは子宮頸がんも同じですが、有効性を追求するという事と安全性の追求は必ずしも並走していない現状にはご注意ください。