心不全について
[2024.08.25]
動くと息苦しい、動悸がする、時として胸痛や苦悶感など心臓を連想する症状は色々ありますが、これらが初めて出現したときなどはご注意ください。心臓に負担がかかっている状況を心不全と言いますが、貧血などで二次的に負担がかかる場合と、心臓自体が弱っている場合のふた通りあります。どちらも問題ですが、後者の注意点を指摘しておきます。心臓を栄養している血流が低下している場合を虚血といいますが、進行すると心筋梗塞に至ります(その途中段階が狭心症です)。また一時的な血管の痙攣状態も虚血を引き起こしますが、限度を越えると心停止を引き起こします。血流には問題ないが心臓そのものに異常がある場合として、弁膜症(弁の動きが悪い)や心筋症(心臓の筋肉が肥大して動きが悪くなる)、またそれらに付随した不整脈があります。今回は主に成人例が対象で、早めに診断して対処することが重要ですが、それには先ず疑って検査という段取りが重要になります。虚血が疑われる場合は安静時の心電図だけでなく、負荷心電図、24時間心電図モニターや超音波検査、CTやカテーテル検査などが必要になることがあり、カテーテル検査は一般的に入院検査です。弁膜症や心筋症は定期的な診察や検査を受けて頂くと比較的早く診断がつくのですが、軽い心不全症状が出て初めて検査・診断という場合も珍しくありません。軽症の際は単なる経過観察となりますが、不整脈にに対して治療を要することもあります。内服治療だったり、カテーテル治療だったりとそれぞれの適応に応じた治療となります。初めに戻りますが、今まで大丈夫だった坂道や階段がきついとか、プールや散歩でこれまでのように動けないなどの初期症状が出たときは放置せずにご相談ください。