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時々浮上してくるC型肝炎

[2024.09.29]
私が研修医の頃、C型肝炎は非A非B型肝炎と呼ばれていました。文字どおり既知のAでもBでもなく、長い間輸血後肝炎の原因として特定できなかった頃の総称です。その後、今話題のPCR法の本来の(笑)活用や遺伝子工学テクノロジーを駆使して現在のC型肝炎の全貌がほぼ明らかとなったわけです。いくつかの遺伝子亜種に分けられ、その世界的分布や肝硬変や肝臓がんとの関連性も徐々に解析されました。一方で治療の開発は若干の遅れをとった形で、長年特効薬といったものはなく、旧態然とした注射や内服に依存する時期が長く続き、ようやく光明が見えたのがインターフェロンです。しかしながら副作用の問題や治療抵抗性株の存在が立ちはだかり、現在のIFNに依存しない内服薬が確立されたのはここ数年のことになります。癌や肝硬変、肝硬変に伴う腹水や食道静脈瘤などの予防は長年の夢であり、ようやくそれが達成されつつあるのが現在です。それまでは歯ぎしりしながら古い治療に依存していたわけですが、まさに隔世の感があります。研修医時代に初めて非A非B型肝炎として担当した若い女性も古い治療しか`提供できずに歯がゆい思いは残り、後に出張の機内で偶然声を掛けて頂いたときは本当に驚きました。治療の発達とともに新しい治療は受けられただろうかと心の片隅に残っていた思い出です。きちんとフォローされていればきっとお元気と信じています。このIFNfreeと総称される内服の登場とそのキャンペーンでC型肝炎は撲滅されてしまうだろうと期待していましたが、数は減ったとはいえまだまだ時々お目にかかり、治療までのお手伝いをすることが散見されます。検診で肝機能が引っかかっても、すべての検診で肝炎ウイルスマーカーまで見てくれるわけではありません。肝障害を指摘されたら一度は細かい背景因子を確認することが重要と強調しておきます。
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