最近の梅毒事情
[2024.04.21]
いきなり梅毒とは何事?と思われるかもしれませんね。淋病やHIVなどと共に性感染症としては昔から有名(?)ですが、これが最近増えているという報告があります。こじらせると死に至る病ではありますが、抗生物質などの発達からコントロール可能な病気となっています。しかしながら感染経路が特殊なだけに高血圧などの成人病などとは異なり個人的に密かに対処することが多いと思われますが、確定診断のつかない段階で感染を広げてしまう場合も少なくないようです。問題の一つとして、泌尿器科や性病科の医師でもない限り、実症例を経験することが少なく、例えて言えば若い小児科の先生が麻疹や風疹を経験しにくい状況と似ています。皮膚症状に遭遇しても『もしかして梅毒?』というイメージを持たないと診断に遅れが生じることもありましょう。しかしこれが最近では確実に増えてきており、性行動の変容や性感染症への意識の低さ、それに加えもしかして新型コロナウイルスワクチン接種による免疫低下が一役かんでいるのでは?などという憶測もされております。これまでは影の存在であった梅毒ですが、今や謎の皮疹を見たら鑑別診断の一つに加えねばならない状況になってしまったようです。