クリニックの今後のあり方
[2024.06.30]
医療関係者の働き方改革が大きなきっかけとなり、病院やクリニックの運営にも大きな影響がでる可能性が指摘されています。もともと医者と看護士のコンビは存在しており、そこに窓口会計などを担当するスタッフが介在する形が一般的です。この窓口業務が単なる会計業務ではなく、医療保険ベースにした極めて複雑な請求形態をとっており、その運営に慣れるまでに結構な時間を要するのが常です。以前に比較して紙業務が減り、コンピュータ化されたとはいえ、根本的な請求システムは変わりませんから、相変わらず当人やクリニックには大きな負担となっており、ベテランスタッフのリクルートには時間や手間がかかることは常となっています。さらにこの状況に追い打ちをかけるのが、無理なIT化や猫の目のような制度変更です。もともと紙業務を毛嫌いし、IT化を歓迎していた私ですら過度なキーボード操作にはうんざりといった状況です。これに反発する形で医療請求業務のアウトソーシング企業が徐々に表に出始めており、まだまだ対応ベンダーの幅は狭いとはいえ、ベテランスタッフの急な喪失などにも大きな損失を出さない様な可能性を示してくれています。もしかしたら窓口はもっと簡素化され、手が空いたスタッフはもっとコンシュルジュ的な役割を担ったり、患者接遇の改善など従来どうしても二の次になってしまっていたニッチな部分の穴埋めに動ける可能性が出てきました。システムテクノロジー的な進歩は止まりませんから、こういった展開は十分に可能性があるのではないかと感じます。他にもAIを使用した内視鏡での癌検出や、微量な採血検体でも幅広く結果が得られるような機器やなどが出てくれば医師・看護士の業務にもゆとりが出てくるでしょう。病院側の運営としても、医師・看護士の待遇改善とともに、本来業務である高度医療や救急にマンパワーを避ければ今よりは肩の荷がおりるかもしれません。もしかしたらある程度の検査などはプチ病院化したクリニックが担い、手術や特殊治療の部分だけを病院が請け負う形なども可能性はあります。良い方に変わっていけるように期待したいところです。