小児の解熱鎮痛剤
[2023.11.12]
昭和59年大学卒業の私の時代は小児でもポンタールやボルタレンなど今では成人しか使わないような解熱鎮痛剤が普通に投与され、夜間救急外来などにはほぼ間違いなく準備されていました。その後何年前位からでしょうか?、成人用の解熱剤を使わないで、アセトアミノフェンやイブプロフェン程度にしましょうという情報が流れ、一気に処方の流れが変わったのを覚えています。もとより、感染症時の発熱は病原体である細菌やウイルスに対して身体が正常な免疫反応を示している証拠ですから、わざわざそれを減衰するような投薬は不要というわけです。もちろん激しい疼痛に耐えろというのは酷ですから、逆に発熱とは無関係に痛み止めとして頭痛や関節痛、咽頭痛などに対して症状緩和の目的で使用することはやむを得ないことと理解しています。言い方を変えれば何度以上になったから解熱鎮痛剤を使用しなければならない、熱は下げておかないといけない、などというのは全く無意味なことであると理解していただきたい。解熱鎮痛剤を投与することが病気の回復の近道であるとすればドンドン投与頂く訳ですが、現実は全く異なっております。下手をすると頻繁な解熱剤の使用が、急激な熱のアップダウンを作り、熱性けいれんを誘発してしまうことだってあります。熱性けいれんの治療や予防は解熱鎮痛剤の出番ではないのです。更に小児での使用が控えられた理由の一つとして、脳症発症の誘因となるのでは?という指摘があった事も事実です。いずれにせよ発熱時の安易な解熱鎮痛剤の使用はなるべく控えていただきたいところです。