抗インフルエンザ薬の役割
[2025.11.30]
古くはタミフルから始まり、抗インフルエンザ薬は錠剤、吸入剤などの使用デバイスの多様化も含め、複数存在しています。当初、タミフル服用後に小・中学生の一部で異常行動が報告され、薬剤との因果関係やインフルエンザ感染に伴う中枢神経的な合併症の両面で議論されましたが、徐々に話題に上がらなくなり、最終的な評価はなんだか尻つぼみで終わった印象がぬぐえません。基本的にインフルエンザ自体は自然治癒するものであり、海外では検査すらしない(これは医療保険制度の違いもあり)ことも稀ではなく、抗インフルエンザ薬を服用すること自体もあまり多くないと聞きます。服用のメリットとしては、有症期間の若干の前倒しが期待できるわけですが、本当にそれを追及することに意味があるのかはイマイチ不明です。特に海外では乳幼児期などは自然免疫を鼓舞する意味でも、自然経過にまかせて、対症療法のみということがどちらかといえば多数派を占めているようです。抗インフルエンザ薬の製造約6~70%は日本で消費(笑)されているという報告もあります。勿論、皆保険制度を基盤として、なるべく標準的な治療を提供するという趣旨には賛同しますが、何が何でも薬物を服用してという判断には個人差があって然るべきです。このあたりの判断は、特にお子さんが対象となれば、日頃からのご夫婦間での意思の疎通が必要になってくるところです。
