認知症への対応
[2025.02.14]
以前は「痴呆症」という差別的な病名がついていましたが、いつの頃からか「認知症」が認識され、普及しています。色んな詳しい病態解析が進み、治療法も複数認可されるなど新しい展開がみられています。最近のトレンドとしてはあまり悪化する前の段階から治療介入を行い、病状を悪化させないコントロールが勧められています。当院の方針としては本人の自覚症状だけでなく、同居家族からの意見、具体的に認知力の低下を疑った出来事の内容などを加味して専門施設への依頼を検討しています。完全に約束をすっぽかして、それすら覚えていないとか、同じ質問や内容の会話を繰り返したりとか、迷子になるなどの症状は分かり易いですが、よくある「人の名前を思い出せない」ですとか「2階に上がってきたけど何をしようとしていたか目的を思い出せない」などという症状はある程度の年齢では「あるある」とも言えます。迷ったときは本人の病識とご家族の希望を考慮して、一度神経内科の(専門外来)の受診をお勧めしています。実際、受診してみると治療の適応がなかったり、他の病気(例えば甲状腺疾患や電解質失調、硬膜外血種といった)が指摘されることもあり、治療の適切な軌道修正も稀ではありません。もちろん認知症の治療が始まったとしても病状に応じた選択肢を教えて頂くことができます。まだまだ画期的な治療法の確立までには至っていませんが、幸い、当院周辺は熱心な教室もあり恵まれた環境にあると言って良いでしょう。どうしよう?と迷ったときは一度専門医の診察を受けてみてはと思います。